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【khadi】インドで見かける「カディコットン」は、ただのハンドメイドではなかった!?

 

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ナマスカーラ!パプリ子です!
今日は久しぶりに、インドのコスメレポをしようと思っていたのですが、思いの外補足的事項が多くなりすぎたので、キーワードとなる「khadi」について、書きたいと思います。

皆さんは、「khadi(カディ)」という言葉を聞いたことはありますか?
多くの方にとって、聞き慣れない言葉ではあると思うのですが、あるいはインド料理に精通しているひとなら、スパイスのメーカーを思い浮かべるかもしれませんし、ハンドメイドコットンを思い浮かべる人もいるかもしれません。
それから、Khadi Naturalなど、手作り石鹸のメーカーにも、「khadi」がつくメーカーがいくつかあるので、インドのグリセリンソープがお好きな方は、そちらが頭に浮かぶかもしれません。

今回は、この「khadi」について、パプリ子がインドで見聞きしたことを書きたいと思います。

 

インドには、色々な”khadi”がある

ものすごく簡単にいうと、”khadi=ハンドメイドです。

パプリ子も最初は、「ヒマラヤハーバル」とか「パタンジャリ」みたいな、ブランドの名前だと思っていました。
「Khadi Natural」のコスメを探していて、ただの「Khadi」というメーカーの製品を見つけた時も、子会社・親会社の関係か何かだろうと、思っていました。

ところがそうも、それが違うらしいと気づいたのは、孔雀さんのお店に、日本人の観光客の男性が来た時のこと。
彼は、日本でインドカレーを作っている人でした。
自分でお店を持っているのかどうかは失念しましたが、イベントに出店する際、パフォーマンスのためにインドの民族衣装を着たら面白いなあと思い、そのお店を訪れたそう。

そこで候補に挙がったのが、
クルタパジャマ(kurta)という、インドの男性の正装↓↓↓
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もしくは、ドーティ(dhoti)という腰巻き↓↓↓
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どうでもいいですが、クルタは、ハンターハンターのハンター試験の頃のクラピカの衣装にちょっと似てますよね。
スリットが入っているあたりとか。
とはいえ、クラピカのあれは、もはやスリットと呼べないレベルで、肩から引っ掛けてる感じですが。
クラピカも、クルタ族の出身ですし、これが由来なのだろうか…

クルタは、アラブ圏の男性の正装、カンドゥーラ(kandura)↓↓↓にも似ていますが、多分別のものだと思います。
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ただ、クルタのかたちって(襟のあたりとか)、ちょっとだけカンドゥーラに似ている気がするんですよね。
インドでは、イスラム教徒の人たちがクルタを着ていることが多いので、パプリ子はクルタもカンドゥーラのように、イスラム教徒の正装なのだと思っていましたが、どうやらそうではないようです。
クルタは腰のあたりから両側にスリットが入っているので、大きな動きをしても、上着の布がさばけて、脚の関節の動きを邪魔しないんですね。
パジャマと名が付くだけあって、家の中で着る人も多いようで、上着もズボンもサラッとしたつくりになっています。
楽ちんな着心地で礼拝がしやすいのか、あるいは単純にそういう文化なのか、イスラム教の礼拝の日にあたる金曜日は、このクルタパジャマを着た人をたくさん見かけます。

パプリ子のビジネスパートナーの孔雀さんも、イスラム教徒なので、金曜日だけはクルタを着用します。
真っ白いクルタに身を包んだ彼を見て
「あ、今日金曜日だったのか」
と曜日を確認したことも、数知れずありました。

逆に、ドーティは、ヒンズー教徒の人たちが身につけていることが多い気がします。
これは、女性用のサリー(saree)↓同様一枚の布で出来ています。
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サリーは、布をからだに巻くまえに、ペチコートとチョリ(胸当て)を下に着ます。
それから、一枚の大きな布であるサリーを、ペチコートに押し込むようにして着ていくので、ペチコートかベルトか、とにかくサリーを噛ませるための何かがないと、着ることができません。

ですが、男性用のドーティは一枚の布を脚に絡ませるようにして着るので、下穿きなしで着用可能です。
下着を履かずに、ドティだけ、という男性も多いようです。
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↑この画像のように、裾を下ろして履くこともありますし、脚に絡ませた部分をまくりあげて着用することもあります。
後者の着用方法は、レンガの職人やものを運ぶ人など、労働者に多いです。動きやすいからでしょうね。
あとは、用を足すときにも、まくりあげるらしいです。

クルタもドーティも、インドの正式な民族衣装なので、もちろんフォーマルな場面用の、豪華なものもあります。↓↓↓
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結婚式なんかで、花婿はこういう衣装を着るようです。
最近結婚したインド人に、その時の写真を見せてもらったのですが、金糸を使った豪奢な刺繍がほどこしてあるシルク(絹)のクルタだそうで、なかなかに凄かったです。

これも、下に履いているのはドーティですね。↓↓↓
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ドーティもクルタも、普段着は綿や麻など、晴れ着は絹、と棲み分けができているようです。
我々が、普段は上布やウールや紬を着て、フォーマルな場では色無地・訪問着など格の高い着物を着る、みたいなニュアンスと、文化的には同じ感じなんでしょうか。

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たまに、モディ首相もこういう格好してますよね。↑↑↑
タオルみたいな布を肩にかけるのも、正式な場面のルールのようです。

マリーゴールド・ホテルの続編で、婚礼のシーンでジュディ・デンチとマギー・スミスが、肩にそういったものを掛けていたのが、印象深く残っています。
着物の世界ですと、羽織ものをするのはカジュアルな装いとされますが、インドは逆なのかな〜なんてことも思いました。

  

  

さて、また話がそれましたが、khadiの話でしたね。
イベント用に民族衣装が欲しくてやってきた日本の男性。
お店には、既製品もたくさん置いてあったのですが、そこはパーソナルオーダーが主流のインドです。
孔雀さんにクルタのオーダーメイドを勧められた彼と一緒に、パプリ子も色々な生地を見せてもらいました。

その一環として、オススメされたのがkhadiのハンドメイドコットン!

「khadiって、化粧品だけだと思っていたけど、布もあるんですね」
というパプリ子の言葉に、日本人男性が
「いや、香辛料のメーカーにもkhadiってあるんですけど…」
と応え、
「???????」
という状況に。

そこで現地人である孔雀さん
「khadiって何よ」
と聞いたところ、
ハンドメイド
という答えが返ってきた、というわけです。

“khadi”には、れっきっとした歴史がある

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khadiの歴史は、第一次大戦後、インドが未だイギリスの植民地支配を抜け出せずにいた時代にまでさかのぼります。
とうに産業革命を終えたイギリスでは、機械を使って、大量の綿製品を安価につくることが可能でした。

そこでつくられた綿製品が、インドの市場に流れ込んだらどうなるのか。
予想はつきますよね。

綿という植物がもたらされて以来、インドの綿製品は手紡ぎ・手織りでつくられてきました。
そして、その布のことが「khadi」と呼ばれ、それを生業にしていた人たちも、もちろん数えきれないくらい居たことでしょう。
ところが、市場にそれよりも安い布が大量に出回るようになったら。
外国から流れてきたものであろうとなかろうと、安ければ人々はそれに飛びつきます。
しかも、時間のかかる手織りと違って、短時間での大量生産も可能とあれば、供給過多になり、値段は落ちる一方。
当然、紡績や織物で生計を立てていた人たちは、次々にその職を失いました。

イギリスで産業革命が起きる前、1600年代後半から1700年代のはじめあたりまでは、植民地であるインドから輸入された綿製品(更紗木綿)が、自国の綿製品市場をおびやかすとして、英国だけにとどまらず、フランスまでもがインドからの綿製品の輸入に制限を設けたほどです。
それから数百年後に、自分たちがインドにとって同じ脅威になるとは、なんとも皮肉な話ですね。

そこで立ち上がったのが、かの有名なマハトマ・ガンジーです。
ガンジーは、単に手紡ぎ・手織りの綿製品の復興を支援しただけではなく、そこで作られた粗野な手織り布「khadi」を、英国の支配に対抗した不買運動、「スワデーシー」のシンボルとしました。
「スワデーシー」とは、現地のことばで「国産品愛用」というような意味で、殊に自国の製品を使うことで、外国製品を駆逐しようと試みた不買運動のことです。

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糸車を回すガンジーの写真は、有名ですよね。
ガンジーはその後、田舎の村々を回り、イギリスの綿製品を去り、彼ら自身の手で糸を紡ぎ、「khadi」を身につけるよう説きました。
インド人としての誇りと地位を思い出しなさい、と。

電子辞書に入っていたブリタニカ百科事典を読んでいたら、それに関連して面白いことが書いてありました。

チャルカー

ヒンディー語で手紡ぎ車のこと。インド独立運動に際して、M.ガンジーがこれを手にして、外国製の布、外国風の衣服を排斥し、手紡ぎ、手織りにいそしむように説いた。これはインド的なものの再発見であり、民衆のなかの民族意識に訴えるものであった。なおこれは、インド国民会議派の旗印になっている。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目電子辞書版より

インドの片田舎から始まったささやかな動きが、徐々にインテリ層や身分の高い人たちにも広がっていき、「khadi」をシンボルとした運動は、独立と自由を求めた一大ムーブメントへと発展していきます。
そうして、1925年には、「khadi」の製造・販売を援助し、またその名を知らしめるための「全インド紡ぎ工協会(All India Spinners Association)」が設立されます。

その後、インドがイギリスから独立してからは、現在の「カディ委員会(KVIC/Khadi, Village and Industries Commission )」 の前身が設立されます。

現在でも、この「カディ委員会」は存在していますが、「khadi」の指す範囲は、だいぶ広くなりました。
布製品にはじまり、シャンプーや石鹸といった化粧品、乳飲料用の味付きパウダーや、カレー用のスパイス。
限られた村で、決められた方法で手作りされた製品だけが、政府の承認を受けて、「khadi」の名の元に、製品を販売しています。




とはいえ、そこはインド。
当然のように偽物の「khadi」も存在します

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「khadi」を冠した偽物にご用心

カディ委員会」のサイトを見ても分かると思うのですが、「khadi」にはれっきとしたロゴがあります。

khadiのお店

上の画像は、マイソールにある「Khadi」のお店なのですが、「Khadi India」の文字が、オレンジの地に青で書かれています。
それから、その上のオレンジの地に白で梵字のようなものがくちゃくちゃっと書かれた小さい丸。
政府公認の手作り石鹸のメーカーである、Khadi Naturalのサイトも、よく探すと同じロゴが使われています。

khadiお店

それから、少し見づらいですが「Khadi India」の文字の横にある、赤い地にインドの地図が描かれた紋章。
(左は、カンナダ語での表記)

下の画像は、Khadi Naturalのハンドメイドソープコレクションの外箱と、ローズウォーターのパッケージなのですが、同じロゴと紋章が確認できます。

khadiのマーク

インドの地図の紋章は、白地に黒で書かれている上、見づらいのですが、確かに「カディ委員会」のサイトにあるものと同じです。
ちなみに、その隣の緑の丸が、「Khadi Natural」のロゴです。

そしで、これがパプリ子がインドのスーパーで買ったただの「Khadi」のシャンプー。
khadi ハーバルシャンプー 
Khadi ハーバルシャンプー 裏面



裏面にも表面にも、ロゴがない…
ラベルが紙なので、お風呂場の水のせいで少しかすれていますが、
それにしても…ロゴがない。

ちなみに、同じシャンプーでも、「Khadi Natural」のものは、ラベルもラミネート加工してあって、水濡れくらいでおかしくなることもありません。
khadi natural シャンプー&コンディショナー

インドは”政府公認”も見極めが必要

khadi店内

話は冒頭の、インドの民族衣装を買いに来た男性の話に戻りますが、彼がkhadiの布に目を留めたのも、他の似たような布と比べて、値段が飛び抜けて高かったからです。
手紡ぎ・手織りなら、高価なのもうなずけますよね。

その後、インド旅行に行った人から
「どうしてもカディコットンのタオルが欲しくて、マーケットの路上で売られているものを買った」
というような話を聞いたので、孔雀さんに聞いたところ、
あ、それは偽物だね
という返事が返ってきました。

実はパプリ子も、カディコットンのインド式タオルを探し回る過程で、「偽物」ではないのですが、「未承認」のカディコットンをいくつか見かけました。
事前に孔雀さんから、
”Government undertaking(政府公認)”の店で買えよ。看板に書いてあるから
と注意は受けていたので、大通りを原付きで走りながら、それっぽい店に入っていったのですが、やっぱり怪しい。

government_undertaking

↑↑↑これがその、「政府公認」のお店で見つけたカディコットンなのですが、手織りにしては目が整いすぎているし、染色も綺麗すぎる…

その後、「Khadi India」の店内で見つけたもの↓↓↓と比べると、風合いがなんとなく違うのがお分かりいただけるでしょうか?
khadi店内

上の画像を孔雀さんに見せたところ、
「いや、あれも多分ハンドメイドなんだよ。ハンドメイドだからカディコットンには違いないんだけど…まあ、Khadiの正規店で買うほうが間違いないね。特に、外国人の君は特に」

これはカディコットンに限った話ではないのですが、インドの現地の人たちは「未承認」や「政府公認店を模した店」であることが分かっていても、普通に買い物をします。
だって、どこに自分の気に入るものがあるかわからないじゃん
と、彼らは口をそろえて言います。

確かにそれは言い得て妙で、お店のギャランティーなんて関係なしに、自分の気に入るものを見つけられたら、それが自分にとって唯一の本物になるんですよね。
パプリ子は、「正規店で本物を買った」という安心材料が欲しいため、彼らのような買い物の仕方は選ばないのですが、ちゃんと自分の価値観や審美眼に、全幅の信頼を寄せられる彼らが、少し羨ましくもあるのでした。

そうそう、くだんの日本人男性は、金糸の美しい刺繍の入ったシルクのドーティを購入して帰っていきました。
バターライスのような優しい白で、畳むとポケットにも入ってしまう、ふしぎな一枚布です。
いつか、ドーティでめかし込んだ彼の作るインドカレーというものも、賞味してみたいものですね。

次回こそは、”未承認”Khadiのコスメについて、レポートをしたいと思います。
それでは、また!

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